鹿児島県の魅力の一つでもある「お茶」についてご紹介します。

鹿児島茶と聞いてピンとくる人は少ないかもしれませんが、実は鹿児島県は静岡県に次ぐ日本第2位のお茶生産量を誇る県です。ただその知名度が今一つ。静岡県に大きく水をあけられている印象なのには理由があります。鹿児島のお茶栽培の歴史は古いのですが、その多くが他産地のものと混ぜて販売されるブレンド用として流通されていたからなのです。1990年代頃より、「かごしま茶」としてブランド価値を高める工夫をしてきた努力が実り、最近では鹿児島茶もだいぶメジャーになってきました。鹿児島は気候的にも地理的にも農産物の栽培に適している農業大国ですが、穀類や野菜などのイメージが強いため、お茶の名産地でもあるという事実はあまり知られていないかもしれません。鹿児島のお茶の美味しさを是非、多くの人に知ってもらいたいです。

全国第2位の生産量を誇る鹿児島茶ですが、残念なことに日本三大茶にはランクインしていません。日本三大茶とは、京都府の「宇治茶」、静岡県の「静岡茶」、そして埼玉県の「狭山茶」。これは特にお茶好きではない人でも何となく知っている名前でしょう。ただ狭山茶は宇治茶、静岡茶と比べて生産量がかなり少ないため、最近ではこの狭山茶の代わりに鹿児島茶を含めて日本三大茶ということもあるようです。鹿児島県の茶畑は県内の約40%の面積を占めており、これは静岡県に引けを取りません。また日本で一番最初に新茶の収穫が行われるのも鹿児島県です。「大走り新茶」と呼ばれるこの新茶を楽しみにしている緑茶ファンもたくさんいます。

鹿児島茶は鹿児島で採れるお茶の総称ですが、その中でも最近ブランド化しているのが「知覧茶(ちらんちゃ)」です。知覧茶は南九州市で栽培されているお茶ですが、その透明感のある美しい若草色とスッキリとした爽やかな香りが魅力です。農林水産大臣賞をはじめ、様々な品評会で度々受賞していることから全国的にも知名度が高まってきています。南九州市は地形的にもお茶の栽培に適しているだけでなく、日照条件にも恵まれています。品質の高いお茶を育てようという農家の想いも強く、様々な創意工夫がこらされたことが現在の評価につながっています。また南九州市は市町村単位ではお茶の生産量が全国1の市としても知られています。鹿児島茶、知覧茶、どちらも今はネットで全国どこからでも購入できますが、やはりその産地で味わう一杯は格別です。鹿児島にきたら是非その豊かな香りと味わいを楽しめます。